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2005年 09月 18日 ( 1 )


2005年 09月 18日

小説に描かれる藝人

「小説 圓朝」(正岡容著・河出文庫2005年初版)読了。

ご存じ三遊亭圓朝は、噺の新しい形態を創り、文学史上でも言文一致に功績大の噺家です。
本書の表4に「落語史に燦然と輝く明治の大名人~」とありますが、一般的にはそう言われてます。
その名人の伝記的作品で、しかも著者は昭和初期の落語評論の大家、正岡容。
私としては、資料としてもぜひ手元に置いておきたい作品なので、早速購入。

結論としては、「圓朝」入門としては良いかもしれませんが、物足りない気がします。
何分江戸の圓朝までしか描かれていないんですよ。(明治33年没)
続編「慈母観音」「圓太郎馬車」「弟子」があるらしいのですが、復刊される可能性は低いでしょう。
それもあって噺家を扱った小説としては、名作「志ん生一代」(結城昌治)や「江戸前の男」(吉川潮)ほどの魅力はちょっと…。
描き方も戦中(昭和18年刊)らしく、主人公があくまで前向きですし。
附録の圓朝作品の解説・論評は一見の価値アリ。

「読んでみようかな」と思われた方には、併せて「三遊亭圓朝の明治」(矢野誠一著・文春新書刊)や、「三遊亭圓朝」(永井啓夫著・青蛙房刊)(これは私も未読ですが)も読まれることをオススメします。
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by ShinchoNO1 | 2005-09-18 23:44 | 書評